“クセになる!?栄光のにおい”

栄光のトリビア

あまりにも栄光の「におい」にまつわるつぶやきが多いので
この「におい」を究明するために栄光臭調査委員会を立ち上げました。

201410月 栄光臭調査委員会

栄光臭に関する報告書

1.第一の容疑 「本文用 墨インキ」

最もにおいを発生させる可能性が高いのはインキです。栄光が使っているオフセットインキは、世界トップシェアのDICさんの製品。印刷の標準になっている色見本帳「DICカラーガイド」の、あのDICさんです。つまり変なものは使用しておりません。

インキを盛らなくてもベタが安定的に出るように、栄光用にブレンドした「マット特墨C」を使用しています。やはりこれが主犯格と思われます(詳細は後述)。

2.第二の容疑 「カラー プロセス インキ」藍・紅・黄・墨

栄光は短納期を実現するために「UVインキ」を使用しています。UVUltraviolet)とは紫外線のことで、紫外線を照射して瞬間硬化(乾燥)することができるインキということです。つまり印刷後、直ぐに加工できることが最大のメリットです。

従来の油性インキは3時間~半日かけて乾燥させる必要があり、場所を占有し効率が悪いのでUVインキに切り替えました。UVインキは割高で乾燥装置も必要なので、導入している印刷会社は少数派です。少数派といっても、既成品を使用しているのでオリジナルのにおいは発生していません。幇助くらいでしかないでしょう。

3.第三の容疑 「栄光コミック」

紙に問題はないのか? 本文用紙で他社と違い、特徴的なのは「栄光コミック」。オリジナルの名称を付けているものの、日本製紙のラフ系の嵩高書籍用紙。軽くて少し風合いがあり、厚みもあるので人気がありますが「既成品」。インキに比べるとにおいの発生源としては弱く、原料のパルプのにおいが香る程度と思われる。

4.第四の容疑 「従業員による異物の混入」

従業員全員に対し、抜き打ちの持ち物検査を実施。悪臭を放つような「ニンニク」などの物質および加工物の持ち込みは発見されず。加齢臭を放つものが若干名いたものの、決定的な物証は得られなかった。

【結論】

1、2いずれも一般の印刷会社と比較すると特徴的なインキを使用しているが、同人誌専業の印刷会社のものとしては、そこまで特異性はない。においとして嗅ぎ分けられる唯一の要素は、栄光用にブレンドされた本文用インキ「マット特墨C」に特定される

ここからの解説は、DICグラフィックス(株)の営業担当者からインキの成分表を提出してもらって、聞き取りした専門的な話。

同人誌印刷の命は本文のスミ印刷。1色印刷なのでカラー印刷より簡単と思われがちだが、シンプルなことこそ奥が深い。ベタをムラなく出すためにインキを盛ると、繊細な線やアミ点が潰れる。だからインクをそんなに盛らなくてもベタが安定的に出るように工夫しなければならない。しかもテカテカしてもダメ。

そこで艶消しのマットインキに着目。まだ当時は既成品として普及していなかったので、DICさんに協力を仰ぎマンガ本文に最適なインキの調合に挑戦。試作品ができればテスト刷りを行い、微調整を加えながら1年以上が経過。ABCDEFGのバージョン7にまで到達。結局Cが最適と判断して2009年に栄光用の「マット特墨C」が完成しました。

マット特墨C.jpg

この調整された成分が栄光臭のオリジナリティの素。インク成分でにおいを発生させるのは、植物油と合成樹脂類。いずれも2030%の含有率があり、この二つでインキ成分の半分を占めます。植物油(ベジタブルインキ)は環境にやさしいエコ素材として積極的に使用されています。この含有率こそが企業秘密に当たるので公表はできませんが、この違いが「においの違い」になっています。
そして栄光は通常期でも入稿から出荷までのリードタイムがかなり短いので、印刷されてから梱包までに、においがあまり発散されずに箱詰めされます。これも栄光臭が全国に拡散する一因となっていると思われます。

報告書のまとめ

感情に不快感を与える可能性はあっても、人体に悪影響はありません。

ただし癖になる臭いにつき、ご注意ください。

岡田 一

この記事を書いた人

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栄光の二代目社長。マンガを描くことよりも、本の企画・編集が好き。

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